「ブラックジャックによろちんこ」は他人事じゃないかもしれない

医療現場を描いている漫画、「ブラックジャックによろしく」を巡り、作者の佐藤秀峰先生とAmazonが戦っています。

(2017年8月20日追記あり)

 

ブラックジャックによろしくとは

まず事前情報として、この漫画は幅広い用途で自由に使うことが可能という、珍しい作品という事を知っておいてください。

【自由な利用】

本規約の条件に従う限り、「ブラックジャックによろしく」作品を商用・非商用の区別なく、事前の承諾を得ることなく無償で複製し公衆送信し、また、どのような翻案や二次利用(外国語版、パロディ、アニメ化、音声化、小説化、映画化、商品化など)を行うことも可能です。二次的著作物に関して原著作物の著作権を弊社は行使しません。また、著作者人格権(同一性保持権)を行使しません。

佐藤漫画製作所より引用

「ブラックジャックによろしく」はこちらからフリーダウンロード可能になっています。

http://mangaonweb.com/company/download.html

より精緻なデータが必要な場合は、有料で製版マスターデータを購入することも可能です。

 

今回のAmazonとの戦いの経緯

※KDP(Kindleダイレクト・パブリッシング)とは、Amazonが運営している自作の電子書籍を出版できるサービス。出版に掛かる費用は無料で、世界中で販売できる。

「ブラックジャックによろしく」はこのKDPで有料販売されていましたが、Amazonの独断により作者側に事前通告はなく、全巻無料配信されることになりました。

この件に対するAmazonの言い分が↓

他のサイトで無料配信されているから、プライスマッチをしたとの事。

これに対して作者の佐藤秀峰先生は、、、

  • 商用非商用どちらも自由に利用できるけど、Amazon Kindleストアでの扱いは別。
  • プライスマッチされたけど、Amazonで販売しているものは無料配信しているものとタイトルもデータも違う。

としています。

要は、タイトルもデータも違っているのに、プライスマッチするのはおかしいと主張しています。

ちなみにデータの違いというのは、画質(解像度?)の違いのようです。

さらに、明らかに別物だとアピールするため、作者自ら、とんでもない行動に出ます。

なんと作者自ら、「ブラックジャックによろしく」から「ブラックジャックによろちんこ」にタイトルを変更しました。

確かにこれだと他のショップで販売しているものとは明らかにタイトルが違ううえ、データも違っているので、プライスマッチのさせようがありません。

ただこれで負けないのがAmazon。

タイトルを戻すまで販売停止という流れになりました。

現時点ではここまでですが、この先どのような展開になるのか気になるところです。

 

この問題の気になる点

著作物に対する扱いが軽視されている気がしてなりません。

  • 他で無料配信してるんだから無料で良いでしょ。
  • 無料だからロイヤリティも無いよ。
  • 解像度?そんなの違ってても同じ作品でしょ。

著作者への断りなく、こんな流れが進んで良いものでしょうか?

 

これを音楽業界に置き換えたらこんな話でしょうか。

  • サンプルとしてビットレートが低い曲を無料配信していた場合、ハイレゾの有料用の曲も勝手に無料配信されてしまう。
  • もちろんロイヤリティも支払われない。

 

著作者としては、作品を沢山の人に触れてほしい。そして気に入ってもらえたらその分の対価を得たい。

殆どの方がこういう思いで活動をしていると思います。

しかし今回の件をきっかけに、無料配信の考えが変わってきてしまう可能性も考えられます。

 

Amazonのような大きな組織だからこそ、作り手、売り手、買い手の全員が納得できる対応を期待します。

(以下2017年8月20日追記)

Amazon側から公正取引委員会に、自発的な措置を講じるとの報告があった事がアナウンスされています。

詳細はhttp://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/aug/170815.htmlをご参照ください。